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ククの<br>おにぎりや

ククの
おにぎりや

店舗情報

店舗(事業者)住所
〒666-0035
兵庫県川西市花屋敷1丁目8−1
電話番号
080-5308-4179
業種/サービス内容
小売店
営業時間
11:00〜14:00
定休日
不定休
店舗(法人)URL
店舗(事業者)情報
手作りおにぎり+フィルム海苔の『ハイブリッドおにぎり』をつくっています

なぎちゃん

読みやすい文章で川西市の魅力をたっぷりお伝えしていきます。

趣味は、読書とCanva。かわいいものが好き。女性らしいやわらかな視点で、川西市のヒト・モノ・コト・場所を発見しお届けします。

かけ算でうまれる手づくりおにぎり専門店「ククのおにぎりや」

阪急川西能勢口駅から徒歩5分。迷路のような住宅地を抜けた先にかわいらしいのぼりと看板があります。(右)ご主人が考えたロゴが目印

家族の絆で始まったおにぎり屋の挑戦

ククのおにぎりやは、夫婦とそのご家族が力を合わせて運営する手づくりおにぎり専門店。40代になった夫婦が、「この先長く続けられる仕事」を考えた末にたどり着いたのが、おにぎり屋でした。きっかけは、夫の何気ない「おにぎり屋をやってみない?」という思いつき。両親の定年を迎えるタイミングとも重なり、家族全員が協力して新しい挑戦を始めることにしました。

暖かみのある店内には、スタッフのプロフィールもあります。ぜひ「クク」さんと呼んでくださいね。

尼崎から車で30分かけて通勤するという立地を選んだ理由は、「温もりのあるお店を」というこだわりから。見つけた場所は、まるで手作りの良さを引き立てるような雰囲気の物件でした。お店の名前「クク」には、家族の一人一人のチカラを掛け算のように「一つ一つは小さくても、組み合わせることで大きな力を生む」という意味が込められています。

一粒一粒が語るストーリー「笑顔で何個もパクパク食べてもらいたい。」

おにぎりの主役となるお米は、滋賀県伊吹山のふもとで育てられた減農薬栽培の「きぬむすめ」。農家直送のお米を使用しています。きぬむすめは、冷めても甘みと香りが残り、おにぎりにピッタリ。元々、和歌山県の「きぬむすめ」を使っていましたが、米騒動の時に供給が難しくなり、滋賀県産に切り替えました。他のおにぎり屋さんは農家さんと年契約をしているところがほとんどですが、ククは2024年8月にOPENしたばかり。次の新米からお米の年契約をする矢先の米騒動でした。

契約が全部決まっていて、売るお米がなかった。農家さん用の保管分しかなかったと言っていたけども「元々うちの米を買ってくださっていたのであれば、うちのお客様だから。」といってお米を売ってくださった。私たちを大事にしたいという滋賀県の農家さんの想いもトータルして選ばせていただきました。

産地をかえるとお米の味も変わります。和歌山県産は、がつんとくる味で滋賀県産の方が繊細な味。

ククのおにぎりに合うのは、滋賀県産の「きぬむすめ」でした。

滋賀の農家さんから直送されるお米は、写真に文章をつけて送ってくださります。農家さんの想いも一緒に受け継ぎ、「ただのお米以上の価値」を生み出しています。お客様にはおいしいものを食べて頂きたいから毎回、玄米で送っていただき必要な分をその都度精米するようにしています。

 

お米をお出汁で炊くことで、ふんわりした甘みが引き立つよう工夫されています。お米にお出汁を入れることで具と海苔とご飯の一体感が生まれるのです。名古屋の三河湾で採れる海苔は、パリッとした食感が特徴的。海苔の職人が減少する中、注文するたびに一枚一枚生産していただいているので新鮮です。地産地消も大切だし、全国のいいものがこんな所にこんなものがありますよとお話しするのも大事なことかと思います。

完璧な握りを追求して

「手づくりおにぎり」は一見シンプルに見えますが、その製造には細やかな技術が必要です。冷めてもおいしいおにぎりを研究していたら、「長野県産木曽さわらおひつ」で時間を置いてちょうどいい水分量になったところでいざにぎり始めることにたどりつきました。

特に冬場はお米が乾燥しやすく、握り加減を調整するのが難しい。強く握りすぎると硬くなり、弱すぎると形が崩れるため、2年間の研究期間の末に独自の技法を編み出しました。

8種類の通常メニューと月替わりの限定メニューが1種類

わたしが選んだのは、12月限定のうなぎ460円 さけ280円 ツナマヨカレー260円 マグロの旨煮マヨ260円 の4種類

まず口に運ぶと、ほのかに香る出汁の風味が広がります。出汁が前面に出すぎるわけではなく、言われてみればと気づくほどの控えめな存在感。お米や具材の味わいを引き立てる名脇役となっています。

海苔はパリッとして歯切れがよく、一口ごとに心地よい食感を楽しめます。

一口目からすぐに具材へ到達するバランスの良さ!お米の炊き具合も軽やかで、あっという間に1個ぺろりと平らげてしまいました。

具材の中で特に印象的だったのは、甘辛く味付けされたまぐろ。じゅわっと染み出す旨みが、噛むたびに広がります。

スパイスがしっかり効いた「ツナマヨカレー」はまた食べたくなるおいしさ!ふわっと香るカレー風味が、食欲をさらにそそります。

鮭は丁寧に骨を一本一本取り除き、ほぐしてくれているので、とても食べやすい仕上がり。小さなお子さんでも安心して食べられる優しさを感じます。一口食べると、鮭のほのかな塩味が口いっぱいに広がり、お米の甘さと絶妙に調和します。

12月限定の国産ウナギは、特別な一品。電子レンジで10秒ほど温めると、まるでひつまぶしを食べているかのような贅沢感に包まれます。一口頬張れば、ホッコリ幸せな気分となりました。

そのおいしさに、気づいたときにはもう手元に何も残っていない。そんな魅惑のおにぎり。

おにぎりがつなぐ笑顔

「おにぎり屋をやっていなければ知らなかったことがたくさんある」と語るのは、オーナーのククさん。農家や海苔職人の想いをお客様に伝えることも、お店の役割だと考えています。

おにぎりの具材の一つ「ツナマヨカレー」は、スパイスの配合まで研究を重ねた自信作。18種類のインド料理屋さんで使っているようなスパイスが決め手。お子様には優しい味わいのツナマヨ、中高生や大人にはスパイシーなカレー味と、幅広い層に対応しています。

お客様の層は幅広く、リピーターも多いのが特徴。インスタグラムで営業日を確認して訪れる方や、一度に大量購入する家族連れも少なくありません。ご年配の方には「コンビニのおにぎりは1個も食べられないけれど、ここのおにぎりなら3個は食べられる」と言われることも。

訪れるお客様一人ひとりを大切にし、ダンさんは顔や持ち物の特徴を覚えます。ククさんは再び訪れたときに「前回、何を買ってくださいましたよね?」と声をかける。一人一人のお客様のエピソードとお顔を覚えるようにククさんはされているのだとか。その心遣いが、おにぎりの味以上に人々の心を満たしています。

おにぎりのシールは、ダンさんが一つ一つデザインされています

ククのおにぎりやでは、「お子さんに名前をつけるように」商品に一つひとつ名前をつけています。愛着を持ってもらいたいという想いが込められています。ユニークなキャッチコピーも添えられていて、「これは何だろう?」と思わず手に取ってしまう工夫がいっぱいです。

おにぎりを超えた食文化の発信

12月限定メニューの国産うなぎを使った贅沢な一品。新作は、和食料理人であるククさんの弟さんのアドバイスを取り入れながら開発されています。

定番おにぎりに加え、月替わりの限定メニューも提供しています。おにぎりだけで満足していただける、おかずが入っているおにぎりを考えています。9月のクリームチーズおかかは、好評で定番メニューにしてほしいとのリクエストもありました。12月のうなぎは、店内で焼き直してふっくらさせています。九州産の甘辛い醤油を使って、うなぎのタレも自家製。1月には、だし巻き卵のおにぎりを開発中。

「ククのおにぎりや」のロゴ入り保冷バッグも開発中。暑い夏の日にプレゼントとして持ち歩くのにも便利

現在開発中なのが「持ち帰り用のお味噌汁」。北海道産昆布と鰹節を使い、風味豊かなお味噌汁をカップで提供する予定です。「おにぎりだけでなく、おかずや汁物もセットで楽しめるようにしたい」という思いから生まれた試みです。

ずっとククのおにぎりをおいしいと言ってもらいたい

(右)握り師ククさん (左)ククのパパさん

オーナーのククさんは、自身のこれまでの経験がすべてつながっているということを話してくださいました。接客販売のスキル、ものづくりの技術、日々の家庭料理。そのすべてが今、このおにぎり屋さんに活かされています。「おにぎりを通じて私たち自身のキャラクターを伝える。それが付加価値になる」と語るその言葉からは、おにぎり以上に「人」を大切にしている姿勢がうかがえます。

手話を学ぶダンのママさんがいるので、将来的には「手話ができるスタッフがいるおにぎり屋さん」として、より多くの人に優しいお店を目指しているのだとか。

「おにぎり屋さんはたくさんあるけれど、私たちだからこそできることを届けたい」。そんなククさんの想いが詰まったおにぎりは、味だけでなく心に響く特別な一品です。

訪れるたびに、まるで友人の家に帰ってきたような安心感と温もりあふれるおにぎり屋さん。一粒一粒に込められた真心を、ぜひ一度味わってみてください。